百話千談

トップ > 百話千談 > 英国の中の中国(その1)

中国語を学び中国を知ると、話したいことが沢山生まれます。
学科教員、卒業生、そして中国人留学生から、とっておきの話をお届けします。

英国の中の中国(その1)

留学している中国人

英米学科 増田陽子

 

私はイギリスに一年間の留学に来ている英語教育学科の学生です。縁ありこうしてイギリスでの中国に関して紹介させていただくことになりました。

 

まず、留学が始まり一番驚いたのは中国人の多さでした。私の住んでいるカンタベリーという町はそんなに大きくないのですが、それでも毎日中国人を見掛けるほどです。キャンパス内を歩いていると必ずと言っていいほど中国語の話す声が聞こえてきます。中国人学生と一緒に授業を受けることも多く、またsociety (日本で言うサークル、部活等)で知りあうなど多くの中国、台湾そして香港からの学生と友達になりました。互いの国の料理を作りパーティを開いたり、言葉を教えあったり、ほかの国の人とこんなに親しくなるのは私にとって初めての経験でした。

 

中国人学生の多くは財政学、ビジネス、マーケティングを学んでいて、こちらの大学院に通っている人が大半です。一緒に時を過ごしているうちに様々な中国人学生に出会いました。すごく気の付く人、少し自己中心的だけど優しくて思いやりのある人、日本が大好きな人、自国中国に大きな誇りを抱いている人、中国の社会主義制度に少し疑問を持っている人。こうしてたくさんの人たちと交流していると国籍なんて、言葉なんて関係ないのだなと感じます。

 

中国の友人と話していてよく感じることは意識の高さです。私もその一人ですが多くの日本人は大学在学中に一年留学で来て、その後は日本への帰国を当然のことのように考えています。しかし中国人の中にはイギリスに移住するつもりで来た人たちや中にはこちらで自分の企業を立ち上げている人もいます。「日本から出たいと思う?」と初対面の中国人に聞かれたことも印象的でした。私はそんなこと考えたこともないのにちゃんと同じ年代でも自国の社会状況を考え、自分の問題として受け止めている人たちがいることに驚きました。

 

異なる背景を持つ人たちといると意見の食い違いから少し言い合いになってしまうこともありますし、やはり受けてきた教育が異なるため衝突することもあります。これまで、中国の社会制度や尖閣諸島の領土問題について何人かの友達と本気で話し合ったことがあります。信頼し合った友達同士だからこそ友情関係を崩すことなくこういったことも話すことができるのだと思います。もちろん様々な意見がありましたが、これも日本でも中国でもない遠く離れたイギリスにいるからこそ深く話し合うことができるのでしょう。

 

イギリス留学中に本当の友達と言える、中国をはじめ異なる国籍を持つ人たちにたくさん出会えたことは私の一生の宝物のとなることでしょう。

 

 

%E5%A2%97%E7%94%B01.png