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中国語を学び中国を知ると、話したいことが沢山生まれます。
学科教員、卒業生、そして中国人留学生から、とっておきの話をお届けします。

英国の中の中国(その3)

世界に広がる中国語

 

英米学科 増田陽子

 

皆さん、中国語を学び始めたきっかけは何ですか、そして中国語をどのように活かしていますか。答えは人それぞれでしょうが、私は中国語の美しい声調に感動したのが始まりでした。以前から中国語が世界中で最も話されている言葉で、世界的に注目を浴びつつある言語だということは存じておりましたが、イギリス留学中に新たなことに気がつきました。

 

中国語の多様さ、広さです。英語では中国語のことをChineseと言いますが、それよりもMandarin Chinese (中国の標準語、普通話)とCantonese Chinese(数多くある中国方言の一つ、広東語)という言い方の方が一般的です。初めは、Chineseと言うたびにMandarinかCantoneseかと聞かれるので不思議に思っていましたが、イギリスには広東語話者が普通話話者と同じくらいたくさんいるということに関連していると思います。香港が英国植民地であったためビザ等の関係でもイギリスに留学しやすいことが理由にあるのではないでしょうか。

 

留学中にいろいろな国籍の人たちと関わっているうちに気がついたのですが、中国語は偉大です。よく英語は国際語として扱われますが、中国語が世界中に広がっていることに驚きました。もちろん華僑の存在、中国語が今世界的に注目されていることは知っていましたが、ここイギリスにいても中国語(普通話)がコミュニケーションの手段として役立つことが多いのです。

 

中国、台湾出身の人はもちろん、マレーシア人、シンガポール人、中国系ニュージーランド人、中国語学習者のタイ人、韓国人と中国語で話ができるのです。マレーシアやシンガポールは多民族国家でなかでも中国系の人が多く普通話を母国語として習得し、中国系の学校で教育を受けたという人が多いです。タイでは言語教育が盛んなようで、中国語を流ちょうに話す人もいます。タイ人や韓国人の友達とあえて英語は使わずに普通話で話してみたり、中国人と中国系ニュージーランド人が普通話で話しているのを見たりしたときは感動しました。

 

広東語にも視野を広げるともっと多くの人とかかわりが持てます。香港からの留学生や、ご両親が香港人で家では広東語を使用するというイギリス人、フランス人が多くいます。

 

また同じアジア出身で中国文化圏だということは互いに共通し合えるものがあり、友情関係を深くしてくれます。日本をはじめ、韓国、ベトナム、タイ、マレーシア、シンガポールなども歴史的に中国から多大な影響を受けています。それゆえ漢文で学んだ孔子や老子、織姫と彦星の話や十二支など欧米の人たちにはわからないことを理解し合えるのです。

 

当然、イギリスにいますので、英語を使用するのに変わりはないのですが、それでも中国の言語もしくは文化を共通に認識することでより多くのよりたくさんの国籍の人と意思疎通が可能なのです。

 

きっと長期留学しなかったら気がつかなかったことだったと思います。英語が世界共通語と言われ力を持っていることには変わりはありません、中国語がこの先その役割を果たしていくのか未来のことは誰も予測はできません。でも中国語がそして中国文化が私たちの視野を広げて入れることは間違えないでしょう。是非、仕事で中国語を使おうと考えている人、そしてそうでない人も、偉大な中国の言語、文化を世界中に友情関係を築く一手段としてみてください。

 

 

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