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中国語を学び中国を知ると、話したいことが沢山生まれます。
学科教員、卒業生、そして中国人留学生から、とっておきの話をお届けします。

北京留学生活

98生 林由加子

 
 外大で3年間中国語を学んだ後、私は北京の対外経済貿易大学へ1年間の語学留学を決めました。留学を決めた理由、それは「生の中国語を感じて身につけたい」というものでした。私にとっては親を離れて生活するのもこれが初めてのことでした。しかし、不安が1であったとしたら期待はその何十倍もあったことを覚えています。
留学中は「できるだけ日本語を話さない人と接する」と自分の中で決めていました。留学生活をものにできるかできないかも自分次第、両親にお願いしてやっと叶った留学の夢を無駄にするわけにはいきません。でも日本人とつきあわなかったのかといったらそうではなく、隣の部屋で生活していた同年の子が一番の理解者でした(奇遇にも隣町出身の子でした)。 室友と呼ばれるルームメートは韓国人の子で、今でも連絡を取り合っている仲です。同国の仲間との関係を大事にする子が多い中、彼女も私のように「できるだけ中国語を話して生活する」ことを実践していた一人でした。
 午前中は授業に出て午後は自由時間、という毎日。午後は互相学習といって、日本語学科の生徒さんと互いに言語を教え合う、という勉強をしていました。中国語が身に付いていくのがすごく楽しい時期だったので、部屋に帰ってからも多くの時間を勉強に費やしていました。努力の甲斐あってHSK8級(現在の6級)も取得することができました。
記事の内容からみると「勉強だけの留学生活」と思われてしまいそうですが、初めての自分だけの生活、この時にだけしかできないこともたくさんしました。夜遅くまでバーで遊んだり、朝方まで友人と語り合ったり、今思い出すと若かったなぁと少し恥ずかしい気持ちになりますが、ずっと心に残る素敵な思い出です。
 留学生活の中で一番思い出に残っていること、それはいろいろなところに旅に出かけたことです。女子4人で丸2日間かけて雲南まで電車で旅もしました。宿泊先はいつも安宿、今考えると少し危険だったなぁとも思いますが、当時は何か背中を押されるものがあったので怖いと思ったことは一度もありませんでした。旅を通して中国の魅力を再発見すると共に、今以上に中国語が上手になりたいという目標もできました。
 1年間の留学期間、失うものよりも得るものの方が何倍も多かったと私は思っています。留学で身につけた中国語が今の私のベースになっているのはもちろんのこと、異文化生活や価値観の違いなどで学んだことも、今の私を支えてくれている大事な糧になっています。
 
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室友 と一緒に。気温はマイナス5度!
 
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雲南の石林にて。48時間の電車の旅。