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言語と生きる

10生 中野 夏子

大学生活3年目になると、ほとんどの学生が就職活動を意識し始めます。あらためて自分の将来を見つめ直す機会です。私が長期留学で中国から帰国した1月、同期の学生はもうすでに就活を始めていました。企業研究を重ね、エントリーシートの添削、面接練習をするその様子に焦りを感じ、私も必死に追いつこうとしました。

 

しかし、いざ活動を始めようにも、なにから手を付ければいいのかわかりません。手始めに企業が新卒生を募集するサイトに登録をし、いくつかの企業の説明会に参加しました。 それでも、現実味が得られず、だんだん波に置いていかれるような状況を感じ、就活がどこか自分とは関係ない世界に見えてしまいました。自分がいまだにどんな業界でどんな仕事をしたいのかが明確にわからないまま、ただ会社訪問をつづけていたのです。

 

2月に大学で開かれる合同セミナーに参加し、そこで初めて興味を持った企業の説明会に参加しました。その企業の面接を受けましたが、結果は一次で落とされてしまい、その時は準備不足の現状に改めて自分が不甲斐なく感じました。ショックから抜け切れないまま、とある企業での一次面接の際に、採用担当の方から「あなたの活動の軸を教えてください」と聞かれ、私は戸惑ってしまいました。

 

なぜなら、自分のやりたいことが見つからないまま活動をしていたため、はっきりと「こうしたい!」と言えるものがなかったのです。 担当の方からは「自分の将来なのだから、これは絶対譲れないというものをいくつもピックアップしなければならない」「会社に入ってこんな仕事がしたい、こんな人格者になりたいという明確なビジョンを持つことが大切」と教えられました。軸に関して言えば例えば、恋人に求める条件のように考えるとはっきりと見つかるはず、とアドバイスを貰ったのです。

 

私のいくつかある活動の軸のなかで、最も譲れないものは「語学力を生かす」ことです。留学した期間は1年と、あまり長いものではありませんでしたが、それでも現地の人々と拙い言語を通して交流しました。テレビでは知ることのない現実を、身体でダイレクトに感じ、もっともっと交流をしたいという気持ちが強くなりました。小規模でも交流を続ければお互いの理解がより深まるいい経験をもっと生かしたいと感じたのです。 そして面接では、たとえ畏縮しても不安な表情を出さず、笑顔でコミュニケーションをとることを心がけました。

 

人生の先輩方とこうして向かい合って話を聞いてもらえる機会なんてそうそうない、そう思うと言いたいことがたくさん出てきて、自然に緊張もほぐれていきました。 幸いなことに、私の求める軸にフィットする企業とご縁あって、大学卒業後はそこで働くことになります。語学力を生かして中国との交流を続け、両国がより深い結びつきを得られるように活躍するのが私の目標です。

 

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